------------------------------------------------------------------------- | JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents) | | | | この文書はJPNIC公開文書であり、著作権は日本ネットワークインフォ | | メーションセンター(JPNIC)が保持しています。JPNIC公開文書は誰でも | | 送付手数料のみの負担でJPNICから入手できます。また、この著作権 | | 表示を入れるかぎり、誰でも自由に転載・複製・再配布を行なって構 | | いません。 | | 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-2 風雲堂ビル1F | | 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター | ------------------------------------------------------------------------- (本翻訳は、参考のために供されるもので、正確には英文の http://www.iahc.org/draft-iahc-recommend-00.html を参照していただきたい) ------------------------------------------------------------------------                  IAHC(International Ad Hoc Committee)                              1997年2月4日 IAHC最終報告: gTLDの事務手続管理と運営管理に関する勧告 本報告書には、IAB、IANA、ITU、INTA、WIPO、並びに、ISOCによって選ばれたタ スクフォースであるIAHC(International Ad Hoc Committee:国際臨時特別委員 会)からの最終勧告が含まれている。「法律文書(Legal Documents)」という サブタイトルがつけられたもう一つのパートには、本報告書の勧告を実施する際 に使用されるすべての関連文書の草案が含まれている。 本報告書は、IAHCによって作成された「gTLDの事務手続管理と運営管理に関する 勧告」の記述と説明である。本報告書は、これらの勧告を実施する「法律文書」 の詳細に関して完全かつ正確であることを目指しているが、本報告書の記述と 「法律文書」の内容との間に相違がある場合は、「法律文書」が優先されるもの とする。 目次 1 はじめに 1.1 IAHC憲章 1.2 目標と道標 1.3 一般参加 1.4 IAHC文書 2 用語の定義 2.1 TLDの種類 2.2 レジストリ 3 特定目的のGTLD 3.1 勧告 3.2 議論 3.2.1 新しいgTLDを作るべきか否か 3.2.2 どのようなgTLDを作るのか 3.2.3 既存のgTLD 4 GTLDレジストラの選択 4.1 勧告 4.1.1 地域的な割当 4.1.2 抽選に参加するための資格要件 4.1.3 抽選 4.1.4 手数料 4.1.5 権限 4.2 議論 4.2.1 資格基準 4.2.2 手数料 5 GTLDレジストリの管理 5.1 勧告 5.1.1 ポリシ 5.1.2 運営 5.2 議論 6 GTLDレジストリの運営 6.1 勧告 6.1.1 CORE 6.1.2 既存のgTLDレジストラ 6.1.3 gTLDリポジトリ 6.1.4 gTLD-DNSマスタサーバ 6.1.5 第二レベル・ドメイン 6. 2 議論 7 ドメイン名紛争と異議申立 7.1 勧告 7.1.1 オンライン調停および迅速な仲裁 7.1.2 ドメイン名異議申立委員会 7.1.3 公告 7.2 議論 7.2.1 SLDに関する商標問題 7.2.2 公告 7. 2.3 ドメイン名異議申立 8 追加的な意見と提案 8.1 ISO 3166国コード 8.1.1 ISO 3166 TLD下の機能的なSLD 8.1.2 「.tm.」の追加 8.1.3 ISO 3166名前空間における公告期間 8.1.4 公告 8.2 商標専用ドメイン名空間 8.2.1 国別商標ドメイン名空間 8.2.2 国際商標ドメイン名空間 8.2.3 ユーザフレンドリーなディレクトリ 9 IAHCセキュリティ考慮点 10 謝辞 11 参考文献 12 連絡先 要約 トップレベル・ドメイン(TLD)名は、インターネットの名前づけ体系の始まり の部分を規定する。IAHC(www.iahc.org)は、「国際」トップレベル・ドメイン 名(iTLD:international Top Level Domain)空間の管理と使用を改善すること を目的に組織された。 IAHCは、「一般」トップレベル・ドメイン(gTLD:generic Top Level Domain) の管理と運営を改善するための勧告を策定してきた。それは、安定した運営、継 続的な成長、ビジネス・チャンス、および、法的制約のバランスを考慮に入れた ものである。これらの勧告は、これまでの経験が示す通り、定期的な再検討と修 正が必要である。 公開メーリングリストの利用や様々な公開フォーラムへの参加を含む広範な議論 と協議を経て、IAHCはその調査結果と勧告を以下の報告書として提出するに至っ た。 IAHCが扱う範囲は、gTLDのレジストリに関するものである。レジストリは、一連 の登録作業から成り、それは、登録者(registrant)がレジストラ(registrar: ドメイン名登録組織)を通じて開始し、必要な情報をリポジトリに記録するとい うものである。レジストリの管理は、スチュワード(steward:レジストリ管理 者)によって行なわれる。一つ一つのTLDは、それぞれ別々のレジストリである。 ただし、実際のTLDの管理と運営は、複数のTLDを対象として共同で行なわれる可 能性もある。 本報告書の主な要点を以下に概説する: ドメインネームサービス ・インターネットのトップレベル・ドメイン空間は、公共の資源であり、公共の  信頼を受けなければならない。したがって、インターネットのTLD空間の管理、  使用、または、発展は、いかなるものであっても公共ポリシに関する事項であ  り、それが実行される時には、公共のために、オープンかつ公的な方法で実行  されなければならない。これに関連した公共ポリシは、インターネットの名前  空間における現在および将来の利害関係者らの利益のバランスをとったもので  あるとともにそれらを代表したものである必要がある。 ・TLDの「.com」「.org」および「.net」は現在、「国際(international)」的  なものとされているが、「一般(generic)」的なものと呼ぶ方がより適切で  ある(gTLD)。「.int」のみが真に名前空間の国際部分を表す。 ・gTLDが現在抱えている問題は、「.us」TLDの不十分な使用によってさらに悪化  しており、IAHCは、「.us」が、他の多くのISO 3166ベースのTLDと同様の精神  をもって、スケーラブルで機能的な第二レベル・ドメイン(SLD:Second Level  Domain)を定義し使用することを要求する。 gTLDの管理 ・今回のIAHCの計画には、規制とはならないポリシの枠組みを覚書(MoU:  Memorandum of Understanding)という形で確立することが含まれており、そ  こには、公的セクタ組織、および、私的セクタ組織の両方の署名が求められる  ことになる。この枠組みは、gTLD-DNS覚書(gTLD-MoU)の必須の署名組織であ  るIANAとISOCの署名によって有効なものとなる。このgTLD-MoUは、地球規模の  インターネットのドメインネームシステムに関する将来のポリシの発展につい  て署名組織が助言をするための仕組みを規定している。国際電気通信連合  (ITU)は、このgTLD-MoUの保管人の役割を担うこと、並びに、署名組織の一  覧を定期的に発表することについて原則的に同意した。 ・IAHCは、7つのgTLDを追加gTLDの一揃えとして定義した。今後さらに追加され  るgTLDは、gTLD-MoUによる保護とポリシ調整に基づいて決められることにな  る。新しく決められたgTLDは次の通りである。   .firm   ビジネスまたは企業   .store  購買できる商品を提供するビジネス   .web   WWWに関連する活動を強調する組織   .arts   文化的および娯楽的な活動を強調する組織   .rec   レクリエーションまたは娯楽的な活動を強調する組織   .info   情報サービスを提供する組織   .nom   個別のまたは個人の名称を希望する者 ・gTLDの事務手続管理と運営管理は、レジストラによって署名されたCORE-MoU  (Council of Registrars Memorandum of Understanding)によって設立され  るレジストラ協議会(CORE:Council of Registrars)のもとで、地球規模に  分散し互いに競合する複数のレジストラによって行なわれる。COREは、スイス  の非営利組織として業務を行う。 ・gTLDの管理者の役割は、gTLD-DNSポリシ管理委員会(POC:gTLD DNS Policy  Oversight Committee)が担う。POCは、インターネット・ソサイエティ  (ISOC)、インターネット・アサインド・ナンバーズ・オーソリティ(IANA)、  インターネット・アーキテクチャ・ボード(IAB)、国際電気通信連合(ITU)、  国際商標協会(INTA)、世界知的所有権協会(WIPO)、および、COREによって  任命されたメンバーで構成される組織である。 ・gTLD-DNSポリシ諮問機関(PAB:gTLD DNS Policy Advisory Body)は、公的セ  クタおよび私的セクタからの助言を得て、POCおよびCOREの活動の評価を行う  ため、gTLD署名組織から作られる。 ・ポリシの変更は、POCによって提起され、PABおよびCOREの吟味のもと、ISOCと  IANAの合意によって有効となる。 ・COREは、レジストラの中で共通のサービスを提供すること、特にgTLDレジスト  リの共有データベース・リポジトリの運用に責任を持つ。 商標問題 ・商標に関わる問題では、gTLD下にSLDの登録をするのに先立って、登録者がレ  ジストラを通じて60日間の公告期間を自発的に設けることができるようにする  ことには価値があることを示している。ISO 3166ベースのTLDについても、そ  の名前空間において、同様の公告の仕組みを登録者が利用できるようにするこ  とが奨励される。さらに、「.tm.int」という専用の名前空間が作られ、国際  的な特徴をもった商標を収容できるようにすることを提案する。 ・商標に関わる問題では、訴訟の代わりとなる争議の仕組みが必要である。これ  らは、国際的に周知な知的所有権に関するgTLDポリシに違反すると思われる  SLD割当に対する異議申立手続き、並びに、調停や迅速な仲裁などの選択肢で  ある。さらに、SLDの新規申請手続きおよび更新手続きには、仲裁付託合意書  を含む担当者の詳細情報の提出、公開サイトでのすべてのSLD申請の公告、割  当前の60日間の自発的な待機期間、および、この60日間の待機期間を選択した  申請者についてはその永久的な証明が含まれる。 1 はじめに IAHCは、インターネット・アサインド・ナンバーズ・オーソリティ(IANA)の要 請のもと、インターネット・ソサイエティのイニシャチブで組織された。IANAは、 「トップレベル」ドメイン名(TLD)を含むインターネット・サービスのための 管理テーブルの維持、並びに、それらの維持作業を適切な代理機関へ委任するこ とに関して責任を持っている。IAHCは、これまで「国際(international)」と 呼ばれてきたTLDの一般的なクラスの事務手続管理と運営管理を改善することを 業務としている。 本報告書は、ドメインネームシステム(DNS)において長年に渡って困難を極め ていた諸問題を解決するために組織された委員会からの勧告で構成されている。 諸問題の解決とはすなわち、事務手続き上の公正さ、運営上の安定性と堅牢性、 そして、知的所有権の保護などについてたくみにバランスをとりつつ、DNSの利 用に関して改善を図っていくことである。ここでとりあげる一つ一つの要素に は、それぞれに解決策が用意されている。各々の解決策には、それを支持する人 々が存在している。 多くの制約事項をうまく通り抜けようと試みる提案は、必然的に、それと同等に 多くの妥協を生み出すことになる。今回の提案は、インターネット・コミュニテ ィがその必要性を認識し、またインターネット・コミュニティから改善のための 建設的な意見が出されるだろうという希望と期待をもって提出されるものである。 そのようなインターネット・コミュニティからの声が、今回の提案で試みられて いる適切なバランスを維持するのである。 1.1 IAHC憲章 (これはオリジナルの憲章であり、その後のIAHCの立場や見解によって修正され たものではない。) ドメインネームシステム(DNS)は、インターネットの運営基盤を構成する必須 の要素である。これはインターネット上のマシンの位置を見つけるために作られ たものであり、人間にとって親しみやすい名前とIPアドレスとをマッピングする ものである。マシンにつけられる名前は、複数の文字列をつないだものであり、 登録された名前を表わすとともに問い合わせのための階層を表している。各階層 を担当するレジストリは、一つ上のレジストリから管理の委任をされている。多 くの「トップレベル・ドメイン」(TLD)レジストリがすでに存在している。す なわち、各国に1つずつ存在するもの、並びに、「.com」「.org」および「.net」 などの国際(iTLD)的なものなどである。過去10年以上に渡って、これらのTLD レジストリは安定的であり、また、十分なものであった。近年のインターネット の爆発的な商業化によって、割当手続きの改善の必要性が生じてきている。一つ の複雑な問題は、ドメイン名が人間にとって親しみやすい文字列であるという特 徴が、商業的な価値をも生んできているということである。IAHCは、iTLDに関連 するポリシや手続きの策定および施行を目的とした、複数の組織による国際的な 協力作業である。 IAHCのメンバーは、法律面、事務管理面、運用面、および、技術面各分野からの 幅広い範囲の人々で構成されている。彼らは、TLDの管理を担う組織、同様の国 際的な活動を担う組織、国際的な法的事項の検討や定義を行なう組織、インター ネット・サービス提供組織、インターネット技術および製品を開発する組織など からの代表者である。 TLDの正しい運営は、インターネットの円滑な運営のために必須である。これに は、ドメイン名割当の手続き管理と、クライアント・ソフトウェアのためのDNS マッピングを行なう分散型問い合わせサービスのリアルタイム処理の両方が含ま れる。さらに、iTLDの話題は論争となってきており、この問題は大きな金銭が関 与する可能性をもっている。これらの事柄を明確にするため、IAHCは、インター ネット・スタンダードの「設計チーム」のスタイルで運営される計画である。す なわち、いくつかの判断基準と手続きを系統立てる一方、インターネット・コミ ュニティ全体から評価、修正、および、コンセンサスを求めるものである。イン ターネット・スタンダードは、「ラフコンセンサス」の原則に基づいて作成され ている。これは、インターネット・コミュニティにおいて大多数の人々によって 支持されていることを意味し、たとえ異なる意見があったとしても、前向きな進 歩を求めようとするものである。 DNSは、国際的な資源であり、IAHCは常にその見地に立って運営されるであろう。 IAHCによるとりまとめの努力は、法的な問題、事務手続き上の問題、技術的な問 題、および、運用上の問題に及ぶことになるが、そこでは特に公正および機能上 の安定性の問題に留意することになる。IAHCはできるだけ単純で公正で直接的な 手続きの策定に努め、最低でも解決を必要とする幾つかの問題を解決するであろ う。適切なタイミングで結果を出すために、IAHCは、最も優先度の高い問題から 焦点をあてることになる。 1.2 目標と道標 1996年11月11日  IAHC憲章およびプレスリリースの発表  近い内にiTLDポリシおよび手続きに関する提案を出すことを要請 1996年12月19日  一般の人々による検討のためにIAHC提案を公開 1997年1月17日  提案に対する評価意見の提出期限日 1997年2月4日  IAHC最終報告書 1997年2月7日  IAHC勧告を有効にする法律文書の草案 gTLD開始(以下に示す日付はこの日を開始日とする)  IANAとISOCがgTLD-MoUに署名  申請を処理するための監査組織の選択  スイスの組織としてCOREが設立 7日後  レジストラの申請を募集 67日後  申請募集の締切 97日後  監査組織による申請の最終的な処理 98日後  レジストラの抽選結果の発表 99日後  CORE-MoUにレジストラが署名 100日後  IAHCがPOCを組織化  COREが業務開始 1.3 一般参加 IAHCは提案についてのコメントを受け付けた。一般的な議論は、iahc-discuss @iahc.orgのメーリングリストで行われた。また、公式のコメントは、iahc- submit@iahc.orgに送付され、さらにIAHCのWebページに掲載された。IAHCの2カ 月間の評価期間の間に4,000の非公式なコメントと100の公式なコメントが提出さ れた。補足的な資料、並びに、IAHCメーリングリストに参加するための説明は、 http://www.iahc.orgにおかれている。 1.4 IAHC文書 本報告書  本最終報告書は、次のように分かれている。  ・事務手続管理と運営管理のための勧告   (Recommendations for Administration and Management)  ・法律文書(Legal Documents)  勧告は、IAHCの目標、手続き、決定事項、並びに、定義された活動の構造につ  いて詳細に述べている。勧告ではさらに、その構造に至った理論的根拠が議論  されている。また、勧告は、それが適切と思われる場合、「勧告」部分と「議  論」部分に分けられている。 法律文書  gTLD-MoU  CORE-MoU  CORE-MoUの附属書  CORE定款  SLD申請書  ドメイン名紛争解決の詳細 SLD申請書  gTLD下の第二レベル・ドメイン名の取得および更新のための申請書の推奨書式。 レジストラ申請書式  MoUが署名された後に出される予定の申請書式。 gTLD-MoU  本報告書で勧告されている構造と活動を有効にするための書類。ポリシ諮問機  関を組織する署名組織の支持とともに、IANAとISOCを含む署名組織が必要とさ  れる。 gTLD CORE MoU  COREを形成。COREのすべてのメンバー、すなわち、すべてのgTLDレジストラに  よって署名される。 CORE定款  スイスの非営利組織としてCOREを設立する。 紛争解決の詳細  申立および不服を申請するための手続き。 WIPO規則  WIPO仲裁調停センターの調停仲裁規則 2 用語の定義 2.1 TLDの種類 現在のDNSトップレベル・ドメイン(TLD)は、時として国別TLDと呼ばれるISO 3166国コード(「.fr」「.ca」「.au」など)、および、いわゆる国際TLD (「.com」「.org」「.net」および「.int」)など幾つかのクラスに分類される と考えられている。さらに、「.mil」「.gov」「.edu」および「.arpa」などの ような特別なケースも存在する。 IAHCは、「国際(international)」という用語が現在誤って使用されていると 考えている。IAHCは、DNSは次の3種類のトップレベル・ドメイン名から構成され るものと考える。 国別(NATIONAL:nTLD) 各国には、ISO 3166国コード(例えば、「.au」はオーストラリア、「.ch」はス イス、「.jp」は日本、「.us」は米国など)に対応するトップレベル・ドメイン 名が割り当てられている。「.edu」「.mil」および「.gov」は特別なドメインで、 歴史的な経緯から米国によって使用されている。IAHCは、これらの国コードTLD に関するポリシの設定は、主権国家の国益の中に含まれると認識している。 国際(INTERNATIONAL:iTLD) IAHCは、国際トップレベル・ドメインは真に国際的な性質を持つ者にのみ使用さ れるという見解をとる。最も適切な例は「.int」TLDであり、これはとりわけ、 国際的な政府間組織が使用するものである。 「国際(international)」という用語は、本来、複数の国家政府による活動、 またはそれに相当するものに対して使われるものである。例えば、ある企業が他 の国に製品を輸出しているからという理由で国際的な企業であるとは言えない。 このクラスのTLDについては現在、新たなトップレベル・ドメインの追加は必要 ないと考えられている一方で、適切な国際機関、例えばITUなどが、真に国際的 なドメイン名空間の発展および充実に関する勧告を行うべきであると考えられて いる。 一般(GENERIC:gTLD) RFC 1591 [Post94] は、TLD「.com」「.org」および「.net」を「一般 (generic)」TLD(gTLD)と呼んでいる。IAHCは、これがこれらのTLDの唯一的 確な特徴づけであると考えている。例えば、これらのTLDは、実際に、住んでい る場所を問わずすべての人々に対して開かれているのである(この理由のため、 恐らく「国際」と呼ばれてきたのである)。しかしながら、これらの空間におけ るドメイン名の申請者は国際的な立場で活動する者という基準はない。例えば、 地元地域以外での活動がない(ましてや国外での活動もない)者であっても、こ れらのTLDのドメイン名は取得できるのである。 IAHCでは、「一般(generic)」TLDという用語は、特別な基準を満たすこともな く、国際的な特徴を持っているかどうかということも問わず、いかなる国のいか なる者であっても登録が可能なTLDに対して使われる。 事実上の現在の状態を認識し、IAHCは、「.com」「.net」および「.org」から特 別な基準が取り除かれ、それらがgTLDであると考える必要があると勧告する。 2.2 レジストリ 「レジストリ(REGISTRY)」とは、ドメイン名空間のある一部分の管理に関わる 役割および活動から成るものである。IAHCの作業の観点から言うと、一つのgTLD には一つのレジストリがあり、そのTLDの割当および維持のために必要なすべて のサービス、並びに、その登録業務が含まれる。 「レジストラ(REGISTRAR)」とは、顧客からの連絡に基づき、レジストリ登録 データの取得、入力、および、変更を行うことを認可された組織である。 「登録者(REGISTRANT)」とは、レジストラの顧客で、それが扱うドメイン名を 申請または所有する者である。本報告書の場合は、登録者とはgTLD下のSLDを取 得する者である。 「リポジトリ(REPOSITORY)」には、レジストリのための主(マスタ)データが おかれている。リポジトリは、(リアルタイムで)運用されるDNSの一部ではな く、定期的な更新によりDNSプライマリサーバへデータを提供するものであるこ とに注意しなければならない。リポジトリ登録データは、WHOISネームサービス から入手できるようになっている。 一つのレジストリは、複数のレジストラをかかえることができる。また、一つの レジストラは、複数のレジストリのために機能することが許される。一つのレジ ストリが多数のレジストラをかかえることを決定する場合、基本的な問題となる のは、信頼と協力についてである。複数のレジストラが一つのレジストリを共有 し、十分に協力的な関係を持っている場合、そのレジストリのリポジトリは完全 分散型のデータベース技術を使用して維持することができる。 もし一つのレジストリを扱う複数のレジストラが互いに懐疑的な関係にある場合、 すなわち競争的なビジネス環境で典型的に見られるような関係にある場合、その レジストリのリポジトリは、アクセスのための簡単な規則を作った上で、信頼で きる独立した第三者によって運営される必要がある。特に適切な規則としては、 公正な使用、および、競合する要求に対して先着順に割当を行なうということが 含まれる。 一つのレジストリには、その管理責任を持つ「スチュワード(STEWARD)」という ものが存在し、公共の信頼のもとでレジストリが運営されることを確実にする。 もし一つのレジストリが独占状態にある場合、スチュワード、レジストラ、およ び、リポジトリ運用管理者は、往々にして一つの組織がこれらすべてを兼ねるこ とになる。一つのレジストリに対して複数の競合するレジストラが存在する場合、 各レジストラから独立したスチュワードが存在することになる。これによって、 公共の信頼に基づくレジストリの運営が保証される。スチュワードは、リポジト リとレジストラのパフォーマンスを評価し、必要に応じて変更を加える。 3 特定目的のGTLD 3.1 勧告 新しいgTLDは、それぞれ3〜5文字の文字列で構成される。gTLD名は、一般的で、 文脈的な意味を含むべきである。つまり、gTLDは、インターネット、ビジネス、 または、個人的な使用との関係を示すものであるべきである。 7つの新しいgTLDについてここで説明する。1998年4月まではさらに新しいgTLDを 作ることはないと考えられる。  .firm   ビジネスまたは企業  .store  購買できる商品を提供するビジネス  .web   WWWに関連する活動を強調する組織  .arts   文化的および娯楽的な活動を強調する組織  .rec   レクリエーションまたは娯楽的な活動を強調する組織  .info   情報サービスを提供する組織  .nom   個別のまたは個人の名称を希望する者、すなわち、個人のペンネー ム等 既存のgTLDは次の通りである。  .net  特にインターネット関連のデータネットワーク活動を強調する組織  .org  非営利活動を行なう組織  .com  商業的性格のビジネスまたは企業 3.2 議論 3.2.1 新しいgTLDsを作るべきか否か トップレベル・ドメイン空間に新しいエントリーを加えて、それを拡張する根本 的な必要性はないという人々が存在する。この見解の基本は、既存のトップレベ ル・ドメイン空間が、既に幅広く採用されているISO 3166の国ドメイン空間の第 二レベル・ドメイン構造を通じてあるレベルの「過剰状態」を生み出していると いう意見である。さらに、既存の最も人気のあるgTLDである「.com」と明かに重 複する一般トップレベル・ドメインは、その追加された名前空間に即時に「.com」 で使われている文字列と重複した登録を助長することになるだろうという主張も あり、インターネットにおけるDNS構造の有用性と存続可能性に関連する現在の 問題をさらに悪化させることになるというものである。 また同様に、gTLD空間の中にDNSへの代替的なエントリ・ポイントを作る必要が あるという人々が存在する。この見解の基本は、追加的なgTLDを作ることによっ て、gTLDドメイン空間へアクセスするための代替的エントリ・ポイントが作られ、 既存のgTLDとの自然な競争を生み出し、この自然な競争が、特定のgTLD運営者が 独占的サービスの提供者になることを防止する助けとなるという意見である。こ れによって、独占的な市場で見られる取引行為の危険性も避けられることになる。 新しいgTLDの作成に着手するという決定に当たっては、インターネットを構成す る人々のDNS名前空間へのアクセス性を、一貫性、有用性、効率性という点にお いて確実なものにするという目的に沿って、それぞれのアプローチの特質と危険 性とをバランスさせることが必要である。 gTLD空間がユニークな性質を持っていること、並びに、現在既存のgTLD空間の運 営が独占的となっていることは、上記で述べた全体的な目的に対して戦略上重大 な危険性を提起するものである。このgTLD空間は各国に割り当てられているISO 3166による名前空間とは明らかに異なる範疇にあるものであるため、ここで提起 されている危険性を分析することが、新しいgTLDを作るべきか否かという問いに 対する大きな決定要因になると考えられた。 IAHC勧告の実施は、必然的に幾らかの危険性を伴う。DNSがインターネットの運 営にとって不可欠なものであるため、IAHCは、最初は相対的に緩やかな規模の変 更を定義し、後からその評価と修正を適切な形で行なうことにした。 いかなるドメインのレジストリに対してもアクセスが競争的環境の中で共有され ることは、独占的な取引行為を引き起こす危険性を軽減するための有用な市場コ ントロールメカニズムであるということが、IAHCによって示されている。これは、 gTLD空間の事務手続管理と運営管理のためのIAHCの決定における重要な前提であ る。IAHCはさらに、関係するISO 3166 TLDを管理する各国の組織が、このポリシ について考慮することを勧告するものである。 3.2.2 どのようなgTLDを作るのか 多くのgTLDを急激に増やすことは、末端の利用者による適切なgTLDの選択プロセ スがより複雑になるという点、また、運営上の困難がみられる可能性があるとい う点で、gTLD空間全体の一貫性をゆるがす危険性が増すということが示された。 このためIAHCは、新しいgTLDの数については最初は保守的なアプローチをとり、 7つの新しいgTLDを作ることにした。 選択作業では、幾つかの名前の例があげられた。その中には非特定的なものもあ れば、名前が割り当てられる組織が携わる活動を実質的に示すものもあった。こ の時点では、どのような名前の様式に人気が出るのか明確ではなく、IAHCは、幾 つかの名前の様式を混ぜることによって、インターネット・コミュニティにおけ る志向を探ることができるものと考えている。今回の一揃えの名前から得られた 経験がそれ以降に反映されることになるだろう。 3.2.3 既存のgTLD 既存のすべてのgTLDは、最終的に共有されることが意図されている。 4 GTLDレジストラの選択 4.1 勧告 4.1.1 地域的な割当 ・最大28の組織が、レジストラとして選択される。選択は、地域的な割当の仕組  みを使用し、「7つ」の地球上の地域それぞれにおいて、要件を満たす申請者  の中から最大「4つ」の組織が選択される。ここで使用される地域区分の構造  は、世界貿易機関(WTO)によって定義されたものであり、にリストされている。もし1つの地域から要件を満  たす申請者が4組織出ない場合は、使用されない割当枠は削除される。 ・レジストラの権利は、gTLD-DNSポリシ管理委員会と協議することなく他の組織  に譲渡できない。 ・申請は、1つの組織に対して1つに限定される。組織とは、法的および財政的な  責任を共有する一つの単位である。 4.1.2 抽選に参加するための資格要件 レジストラになるための抽選に参加しようとするすべての申請者は、次の5つの 基準を満たさなければならない。これらの基準は、申請者の経費負担で、指定独 立監査組織によって一つずつ有効性を確認されることになる。 ・一つの地域ゾーンにおいて申請が「5つ」に満たない場合、申請者は、  US$500,000の就業不能損害賠償保険に加入していなければならない。一つの地  域ゾーンにおいて申請が「5つ」以上の場合、申請者は、少なくとも  US$5,000,000の就業不能損害賠償保険に加入していなければならない。 ・一つの地域ゾーンにおいて申請が「5つ」に満たない場合、申請者は、少なく  とも「5人」のフルタイム従業員、または、それに相当する従業員を持たなけ  ればならない。一つの地域ゾーンにおいて申請が「5つ」以上の場合、申請者  は、少なくとも10人のフルタイム従業員、または、それに相当する従業員を持  たなければならない。従業員は、雇用主のレジストラとしての業務に従事する  ものでなければならない。従業員は現時点では他の場所で働いていてもかまわ  ない。ただし、申請者が抽選で勝った場合に、その申請者のために仕事をする  意思を示す公証された書簡を提出しているものとする。 ・一つの地域ゾーンにおいて申請が「5つ」に満たない場合、申請者は、少なく  ともUS$300,000の資本金を持っていなければならない。一つの地域ゾーンにお  いて申請が「5つ」以上の場合、申請者は、US$500,000の資本金を持っていな  ければならない。資本金は、申請者が抽選で勝った場合に使用可能となる銀行  貸付の保証、貸出限度枠の保証、または、他の形態の流動資本であっても良い。 ・申請者は、「工業所有権の保護に関するパリ条約」の加盟国、または、世界貿  易機関(WTO)の加盟国であり「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定  (TRIPS協定)」の少なくとも第2条に合意している国にのみ、レジストラを置  くことに同意しなければならない。 ・申請者は、既存のSLD (第二レベル・ドメイン) を所有し、それは http://  www.iahc.org/dnswalk.html のチェックでDNSエラーを出さないものでなけれ  ばいけない。その所有権は、既存のインターネット・レジストラによって維持  管理されている公開データベースに問い合わせて判断される。 4.1.3 抽選 ・1つの地域から要件を満たす申請者が4組織を越えている場合は、独立監査組織  によって無作為的に4組織が選択される。 4.1.4 手数料 ・申請には、US$20,000の手数料が必要となる。この手数料は、申請者が資格を  満たしていないと判断された場合、または、申請者が抽選手続きで選択されな  かった場合は返却される。 ・各申請者は、IAHCによって指定された独立した業務与信調査組織による報告に  対して、適切な手数料を支払う義務がある。これは、申請者によって提出され  た情報が有効なものかを確認するものであり、この手数料は返却されない。 4.1.5 権限 ・抽選で選ばれたすべての申請者は、レジストラ協議会覚書(CORE-MoU)への署  名が求められる。 ・すべての申請者は、選択のプロセスに関して紛争が発生した場合、IAHCによっ  て指定された場所において拘束力のある仲裁を提起しなければならない。 ・申請者は、すべてのgTLDを共有することを確約しなければならない。 4.2 議論 gTLD空間で運営されるレジストリの最終的な目標は、いかなる組織であっても要 件さえ満たせばレジストラになれるということであり、また、すべてのレジスト ラが、すべてのgTLDにおけるドメイン名の登録に対する責任を共有することであ る。IAHCは、重要なインターネット資源に対して加えられる変更を管理すること に強い関心を示しており、翌年に認可される新しいレジストラの数は20から30の 間に限定され、また、それ以降も毎年20から30の割合で新しいレジストラを追加 し、このシステムが効率的に機能しているかどうか毎年評価作業を行なうべきで あると考えている。現在のgTLDである「.com」「.org」および「.net」のドメイ ン名登録機能が、すべてのレジストラ間で共有できるようになった段階で、レジ ストラの数の制限は完全に撤廃されるべきである。 4.2.1 資格基準 レジストラが、必要な資格を有しているかどうかを評価するためには客観的な基 準が必要である。これらの基準は、主観的な分析を必要としない数量的な基準で ある必要がある。IAHCは、これらのパラメータの多くが容易に数値化することが できないと認識し、申請者を正式に判断する測定基準として5つの項目のみを選 択した。独立監査会社は、申請書で提出された情報の有効性を確認することにな る。 IAHCのもう一つの関心事は、レジストラの抽選に参加する小規模のスタートアッ プ企業の能力についてであった。IAHCは、資本金、保険、および、従業員数につ いて十分に低い基準を設定することで、 発展途上国の企業、並びに、ベンチャ ー・キャピタルに支援された小規模の企業が、抽選手続きにおいてグローバルな 多国籍企業と競争できるようにすることになる。 最後に、IAHCは、割当枠に対して競争があまりない地域と、割当枠に対して多く の申請者が存在する地域に違いを持たせたいと考えている。IAHCは、申請者が多 い地域に対してより高い基準を設定することによってこれを実現することになる。 十分に良識のある申請者は、IAHCによって勧告される客観的および主観的基準の 両方を満たすことになる。それらは、次の通りである。 ビジネス面 ・詳細なビジネスおよびマーケッティング計画を持っていること。 ・会社が所在する国の標準的な会計方式に従っていること。 ・適切なレベルの就業不能損害賠償保険に加入していること。 ・レジストラ運営のために使用できる十分な流動資本を持っていること。 技術面 ・ルータおよびDNSサービスに関してネットワーク運用経験を持つスタッフがい  ること。 ・SQLの経験を持つスタッフがいること。 ・Unixシステム管理の経験を持つスタッフがいること。 ・大規模トランザクション処理の経験を持つスタッフがいること。 運用面 ・7×24(1週7日間、1日24時間)体制のヘルプデスクを運用すること。 ・受信電話自動分配システムを使用すること。 ・公式回答の階層を管理すること。 ・口頭で対応する第二言語として少なくとも英語を使用すること。 ・UPS(無停電電源)システムを設置すること。 ・マルチホームのインターネット接続、または、オンライン・リソースの分散に  よって高い信頼性のあるアクセスを保証すること。 ・堅牢なバックアップ手続きを採用すること。 ・災害復旧計画を策定すること。 事務手続管理/運営管理面 ・組織経営、事務管理、ビジネス・マーケティング、システム運用、および、顧  客サポートについて十分な専門知識を持つスタッフがいること。 4.2.2 手数料 申請手数料は、レジストラ選択手続きを行なうためにかかる経費の分担に基づく が、これには法的費用、財務的費用、事務管理費用、および、旅費が含まれる。 実際の経費がこの金額を下回る場合、残金は、COREの予算に組み入れられる。 5 GTLDレジストリの管理 5.1 勧告 5.1.1 ポリシ gTLD-MoU gTLD-MoUは、IAHCの勧告を実施するための基本文書である。そこにはインターネ ットのトップレベル・ドメイン空間は公共の資源であり、公共の信頼を受けなけ ればならないということが明記されている。したがって、インターネットのTLD 空間の管理、使用、または、発展は、いかなるものであっても公共ポリシに関す る事項であり、それが実行される時には、公共のために、オープンかつ公的な方 法で実行されなければならない。 gTLD-MoUは、インターネット・アサインド・ナンバーズ・オーソリティ(IANA) とインターネット・ソサイエティ(ISOC)の署名を得ることで効力を持つ。gTLD -MoUの変更は、ポリシ管理委員会によって提起され、PABおよびCOREとの協議に 従い、IANAとISOCによって承認される。 ITU保管人 ジュネーブにある国際条約機関である国際電気通信連合(ITU)は、ITU憲章の次 のような基本条項に従い、gTLD-MoUの保管人の役割を担うことに原則的に同意し た。 ・すべての種類の電気通信の改善及び合理的利用のためすべての連合員の間にお  ける国際協力を維持し及び増進すること ・電気通信業務の能率を増進し、その有用性を増大し、及び公衆によるその利用  をできる限り普及するため、技術的手段の発達及びその最も能率的な運用を促  進すること ・世界のすべての居住者に対して新しい電気通信技術の恩恵の拡大を促進するこ  と gTLDポリシ管理委員会(POC) IAHCは、今回作られたgTLDの管理権限を、gTLDポリシ管理委員会(POC)に委任 する。POCは、レジストラの商業的利益とインターネット・ドメイン名空間の公 共ポリシ利益とをバランスさせる公的かつオープンな方法でgTLDが管理運営され ることを確実にする。 POCのメンバーは、次の組織(任命するメンバー数)によって任命される。  IANA(2名)  ISOC(2名)  IAB(2名)  ITU(1名)   INTA(1名)  WIPO(1名)  CORE(2名)  保管人(職務権限により1名)   任期は3年で、期間がずれるように設定される。後任は、世界貿易機関(WTO)が 定義する7つの地球上の地域区分() に基き、前任と異なる地域から選出されることが奨励される。 POCが担うその他の責任の一つは、将来のgTLDの作成を決定することである。 gTLDポリシ諮問機関(PAB) gTLDポリシ諮問機関(PAB)は、gTLD-MoUの署名組織で構成され、関連する政府 機関、非政府組織、産業界、および、インターネット運営組織が含まれる。 CORE-MoU レジストラ協議会(CORE)は、覚書(CORE-MoU)を通じて、POCによって設立さ れる。CORE-MoUは、必要とされる契約上、法律上の、管理および公共ポリシの枠 組みを規定する。COREおよび各個別のレジストラはそれに基づいて運営されなけ ればならない。すべてのインターネット・レジストラは、CORE-MoUの署名組織と なる。 CORE定款 COREは、スイスの国内法に従うスイスの非営利組織として設立される。その定款 は、COREの構造と範囲を明確にするものである。特に、この定款ではCOREメンバ ーによって選出される執行委員会(Executive Committee)、並びに、この組織 のためのスタッフとして業務を行う常設事務局(Permanent Secretariat)につ いて規定されている。 5.1.2 運営 CORE COREの主な機能は、共有される登録データベース・リポジトリの運用などレジス トラ間の活動を調整することである。 レジストラ SLD登録者との直接的なやりとりは、登録サービスと顧客サポートを行うgTLDレ ジストラによって行われる。レジストラは、共有リポジトリに登録情報を設定し なければならない。また他の点においては、gTLD-MoU、CORE-MoU、POCの規則お よび命令に従うことに同意しなければならない。これらの制約を越えて、レジス トラは自らが適切と考えるサービスの開発および運用ができる。 5.2 議論 gTLD-MoUおよびCORE-MoUは、gTLDのより良い管理と運営のための基本的な権限を 規定している。それは、本報告書で勧告されている構造と活動のための公共およ び法的ポリシの枠組みを規定するこれらのMoUに必要とされ、またそれを支持す る署名組織である。 POCは公共の信頼に応えるということを確実にすることについて責任を負ってい る。POCは、gTLDレジストリの日常的な運営に関与することはなく、レジストリ のポリシ事項にのみ注意を払う。レジストラにとっては、そのポリシの範囲内に おいて、幅広いビジネスおよび運営モデルが展開可能となる。 POCメンバー構成は幅広く、当初は本報告書を作成したIAHCの構成に基づく。ポ リシの決定およびMoUの変更は、特にPABとCOREからの評価と助言を受けて、オー プンで協議的なプロセスを通じて行われる。 gTLD-MOU下の管理体制(COREおよびgTLDレジストラを含む)がいったん機能し安 定し、PABがインターネットの利害関係者を幅広く代表する組織に成長した段階 で、POCの構造が再検討されることになる。 6 GTLDレジストリの運営 6.1 勧告 6.1.1 CORE COREは、gTLDレジストラ間の第一段階の管理と調整を行い、レジストラによるサ ービスの一貫性と公正さを確実なものとする。その管理の詳細は、CORE執行委員 会および常設事務局によって決定される。 COREは、gTLD登録データのための共有リポジトリの開発と運用を行なう。また、 これらのTLDのためのDNSマスタサーバの運用も行なう。 COREは、望むらくは強制力のある仲裁によってレジストラ間、あるいは、他の署 名組織間での紛争を処理するための手続きを策定する。 COREは、定められた一定の報告期間に、登録活動についての報告および統計を一 般に公開する。 COREは、非営利組織であり、経費回収ベースで、メンバーからの会費で成り立つ。 6.1.2 既存のgTLDレジストラ 既存のgTLDレジストラは、COREに参加し、COREの原則と規則に従うこと、すなわ ち、すべてのgTLDの扱いを統一し、他のgTLDレジストラと同等の利益を得ること が奨励される。 6.1.3 gTLDリポジトリ COREは共有されたgTLDリポジトリ・データベース(gDB)の運用のため、独立した 中立的第三者と契約を結ぶ。gDBの下請け契約および運用の詳細は、COREによって 決定される。 COREのメンバーは、リポジトリ・データベースに対して等しくアクセスできる。 SLD登録の割当は、レジストリ間で先着順ベースで公正に行われる。 6.1.4 gTLD-DNSマスタサーバ COREは、少なくともそれがサポートするgTLDマスタサーバの運用のために、独立 した中立的第三者と契約を結ぶ。 6.1.5 第二レベル・ドメイン SLD申請 第二レベル・ドメイン名の申請には、次のものが含まれなければならない。 ・担当者および使用目的についての十分な情報 ・手続きサービスのための代理人の指名 ・商標訴訟の場合の管轄裁判権の合意 ・調停および仲裁の条項(後章で解説) 「SLD申請」(1.4を参照のこと)と呼ばれる別文書には、SLD申請に含めなけれ ばならない情報が記載されている。電子的に提出される申請では、最新技術によ る電子的身分証明を含めなければならない。書面による申請では、もし申請者が 個人の場合、その申請者の署名が必要であり、もし申請者が組織である場合、役 員または他の法的に権限のある代表者の署名が必要である。 更新および非使用 使用責任を助長し、不当取得を抑制し、使い古されたものを最小限にするため、 SLD割当は、毎年更新されなければならない。添付された附属書Bには、更新申請 に含めなければならない情報が記載されている。電子的に提出される更新申請で は、最新技術による電子的身分証明を含めなければならない。書面による更新申 請では、もし申請者が個人の場合、その申請者の署名が必要であり、もし申請者 が組織である場合、役員または他の法的に権限のある代表者の署名が必要である。 毎年必要となる更新に加えて、COREはオーソライズされたネームサーバを持たな いサブドメイン(不完全な割当)の回収を確実にするためのポリシを策定する。 6. 2 議論 すべてのレジストラにおける基本サービスの一貫性を確実にするために、gTLD下 のSLDのすべての申請において特定の情報が求められる。ドメイン名申請には、 申請者およびドメイン名の使用目的についての十分な情報を含むことが望まれる。 これは、申請者の使用責任を確実にするためであり、また、当該SLDドメインに 異議申立をする必要性について商標権者が判断するための十分な情報を提供する ためである。 7 ドメイン名紛争と異議申立 7.1 勧告 7.1.1 オンライン調停および迅速な仲裁 COREによって管理される共有gTLD下のドメイン名の申請(60日間の自発的な待機 期間を求めるかどうかにかかわらず)には申請者が次のことに同意するという条 項が含まれる。 ・第二レベル・ドメイン名を所有し使用するドメイン名申請者の権利に対して異  議申立をしようとする権利保有者が調停を提起した場合、世界知的所有権機関  (WIPO)仲裁調停センター(ジュネーブ)の調停規則のもとでオンライン調停  に参加すること。 ・第二レベル・ドメイン名を所有し使用するドメイン名申請者の権利に対して異  議申立をしようとする権利保有者が仲裁を提起した場合、WIPO仲裁調停センタ  ーの規則のもとで強制力のある迅速な仲裁に参加すること。 実際の条項は、CORE-MOUの附属書に記載されている。 7.1.2 ドメイン名異議申立委員会 ドメイン名異議申立委員会(Administrative Domain Name Challenge Panels) は、インターネットでの利用を目的とし、国際的に周知であり、論証できる知的 所有権が存在する「名前」と同一または非常に類似している第二レベル・ドメイ ン名は、その知的所有権保有者の権限によって、その知的所有権保有者のみが所 有することができるというポリシを管理するために設置される。 ドメイン名異議申立委員会は、知的所有権およびインターネット・ドメイン名の 分野における国際的な専門家によって構成される。委員会を設置する手続き、お よび、委員会に異議申立を持ち込む手続きは、世界知的所有権機関仲裁調停セン ター(ジュネーブ)によって管理される。異議申立は、可能な場合はオンライン で受理される。当該ドメイン名の登録から60日以内に提起された申立は「優先」 され、異議申立の提起から30日以内で結審する。異議申立の内容および結審の提 案内容は、インターネット上で公開され、最終決定が行われる前に、適切な第三 者(関連する政府当局または地域当局を含む)によるコメント提出のための適切 な期間が設けられる。 ドメイン名異議申立委員会は、申し立てられたSLDをそれが登録されたgTLDから 除外することを決定できる。また、例外的ではあるが適切であると判断される場 合、gTLD-MOUに含まれる複数またはすべてのgTLDから除外することを決定できる。 さらに適切だと思われる場合、申し立てられたドメイン名と類似する第二レベル・ ドメイン名も除外される可能性もある。このような除外は、ドメイン名異議申立 委員会に対して第三者が請願した場合、適切な理由があれば、例外扱いとされた り、修正を加えられたり、取り消されたりする可能性がある。異議申立当事者は、 上記手続きのすべてに完全に参加をする権利を持つ。 ドメイン名異議申立委員会は、COREによって管理されているgTLD下の第二レベル・ ドメイン名にのみ権限を持つ。その権限は、gTLD-MOUからのみ生じるものである。 したがって、ドメイン名異議申立委員会は、異議申立の当事者に対しては権限を 持たず、また第二レベル・ドメイン名が上記で述べたポリシに違反して所有され ているかどうかの判断はするものの、国内または地域内における知的所有の権利 または義務に関して評価したり強制したりする権限は持たない。 ドメイン名異議申立委員会のいかなる決定も、管轄裁判権内における当該知的所 有権の解釈および主張に関して国または地域の裁判所が審理をする力に影響を与 えるものではない。同様にこの手続きは、いかなる当事者が、国または地域の裁 判所に提訴すること、あるいは、調停または仲裁手続きを提起することを妨げる ものではない。 レジストラは、第二レベル・ドメイン名の除外について、ドメイン名異議申立委 員会の決定に拘束される。 7.1.3 公告 gTLD下のSLDに対するすべての申請は、レジストラが受領次第速やかに誰もがア クセスできるWebサイトで公告される。公告事項には次のようなものが含まれる。 ・SLDの名前 ・申請に含まれる連絡先および使用目的についての情報 ・申請者がSLD割当前の60日間の待機オプションを選択したか、あるいは、60日  を待たずに処理を進めたかどうかを示す永久的なタグまたはラベル(COREによ  って作成されるもの) ・利用可能な電子署名およびタイムスタンプ技術を使用した受理の確認 待機することを選択しなかった申請者は、商標権者による異議申立に対していか なる場合も待機期間が持つ防衛的利益を主張する立場にはない。 7.2 議論 7.2.1 SLDに関する商標問題 SLDの割当および使用は、商標との関係についてこれまで問題を引き起こしてき た。商標権者は国内商標法の下で侵害を取り締まるという点において合法的な利 益を有し、また、SLDは商標を侵害し得るものであるという認識が持たれている。 紛争は、商標権者と「不当取得者」(商標権者または最高額の対価をつける者に 販売する目的で著名なマークや名前を反映したSLDを故意に取得する者)との間、 または、商標権者とビジネス使用または個人使用を目的とした正当なSLD所有者 との間で生じる可能性がある。しかしながら、商標の問題は、これまでほとんど の場合、SLDの割当という文脈の中で考慮されてきたことはなく、その結果、エ レクトロニック・コマースが広がってくるにつれ、予想に違わずSLD割当と国内 商標法の衝突が発生するようになってきている。商標には単一の普遍的な国際法 は存在しない。したがって、世界中に通用する法体系を適用して、商標とドメイ ン名にかかわる紛争を国際機関に預けることは不可能である。 1つの可能なアプローチは、商標権者とSLD所有者の間の紛争の仲裁人としてレジ ストラ自身が介入することである。これは、商標登録証明書を持つ者が「同一」 の名前を使ったSLD所有者に対して異議申立をした場合、SLD所有者が自らの商標 登録証明書を示せずそれを切り札にできない状況にあったり、あるいは、当該ド メイン名の使用が、申立人の商標の発効日または最初の使用日より先であるとい うことが立証できない時には、商標権者の要請により当該SLDをレジストラが使 用停止(on hold)状態にするというものである。このような善意に基づくポリ シは、ドメイン名所有者に対する商標権者の申立に優位性があるという判決なし で、SLDの継続的な使用を禁止する命令を実際に出すという裁量を非司法組織に 対して与えることになる。IAHCは、このようなアプローチは、商標法の基本的な 考え方、並びに、公平なフェアープレイの原則に反するものと感じている。この ような紛争ポリシは、ドメイン名所有者がたとえ実際に異議申立をする商標登録 者よりも優位な商標権を持っていたとしても、不当な負担を強いることになる。 IAHCは、レジストラが商標紛争にかかわることを可能な限り少なくするレジスト リ・ポリシを追求する。レジストラに対する訴訟を含め、訴訟を最小限にするこ と、並びに、ドメイン名に大きな投資がされる前に合法的な紛争の解決を進める ということに、実質的な利益があると認識している。 7.2.2 公告 ドメイン名所有者および商標権者の合法的な利益に照らし、また、一貫性とフェ アプレイという全体的な利益において、IAHCはドメイン名登録前に60日の期間を 設けることが、すべての利害関係者に利益をもたらすと考えている。登録前の60 日間の公告期間によって、紛争の可能性を訴訟に至る前の段階で早期に解決する ことを促し、商標権者によって後から異議申立を受けた場合、ドメイン名所有者 により強い防衛力を与え、さらにレジストリが訴訟に巻き込まれることを少なく する方向に働くことになる。 しかしながら、これまで受け付けた一般からのコメントへの回答として、またさ らに検討した結果、IAHCはこの60日の期間を自発的な選択肢とすることに決定し た。この自発的な選択肢には、申請者が選択肢として選ぶ場合と、あるレジスト ラがそのSLD登録のすべてについて60日の期間を設けるという場合がある。 7.2.3 ドメイン名異議申立 ある論証できる知的所有権を含む第二レベル・ドメイン名は、その知的所有権の 保有者によってのみ所有することができるというポリシの採用に当って、IAHCは COREレジストラがこのポリシを施行する組織として適切ではないと認識している。 このポリシは、むしろドメイン名異議申立委員会を通じて施行されるものである。 この委員会は、国または地域の裁判所に置き換わるものではない。この委員会は、 ドメイン名に対してのみ権限を持つものであって、当事者に対して権限を持つも のではない。ただし、裁判所とは異なり、異議申立委員会は、世界的に著名な商 標など特定の名前をすべてのCORE gTLDから除外する権限を持つ。ドメイン名異 議申立委員会についての詳細は、CORE-MOUの附属書に含まれている。 異議申立委員会は、紛争解決という点において、裁判所での訴訟に代わる有用な ものであることを希望する。また、自発的な60日間の待機期間の使用が、司法当 局によって認知され、その期間の後に提起された異議申立はドメイン名所有者に 対して弱いものとなることを希望する。 8 追加的な意見と提案 8.1 ISO 3166国コード 8.1.1 ISO 3166 TLD下の機能的なSLD インターネットの一般トップレベルの名前構造の原型が、多くのISO 3166 TLDの 国別名前空間の第二レベルの名前構造として採用されている。そこでは、機能的 に同等ではあるが別の名前が使われる場合もあれば、また、時として現地語の略 語が使われる場合もある。 一般的に採用されている機能的な一般名構造の例は、次のような構成要素から成 る。 ・商業的組織のために使用される「.com.」および  「.co.」 ・教育機関のために使用される「.edu.」および  「.ac.」 ・政府機関および公的機関のために使用される「.gov.」 ・非営利組織のために使用される「.org.」 ・通信サービスプロバイダのために使用される「.net.」 IAHCは、これを広く理解されている機能的な構造と考え、また、この構造がISO 3166の国コード「.us」では今日まで採用されていないことに言及している。 IAHCはさらに、現在のgTLD空間に対する要求圧力の主な源は、この空間の歴史的 な起源、並びに、上記に述べたような一般に採用されている機能的な第二レベル の名前構造を持たない「.us」国コードが導入されたことにあると考える。 IAHCは「.us」ドメインの管理者が、機能的なSLD構造に基づいてさらに委任をす ることを提案する。ただし、大規模な委任と管理に責任を持つため適切な補正が 加えられるものとする。また、IAHCは、このような機能的な構造を、広く理解さ れている構造として他のISO 3166国別空間の管理者に対しても提案する。 8.1.2 「.tm.」の追加 IAHCは、機能的な名前「.tm.」、または、現地語に相当するも のが、前のセクションで述べれられた機能的な名前の一揃えに追加されることを 提案する。 8.1.3 ISO 3166名前空間における公告期間 ISO 3166第二レベル・ドメイン空間の現在の運営をさらに考慮し、IAHCはそれら の空間の管理者に対して、gTLDに対して提供される仕組みと同様に、申請と割当 との間に自発的な60日間の公告期間を設けること、並びに、優先的オンライン調 停仲裁システムの確立を提案する。 8.1.4 公告 IAHCは、ISO国コードレジストリが、gTLDで定義されるSLD公告手続きと同様の手 続きを採用することを強く奨励する。 8.2 商標専用ドメイン名空間 IAHCは、商標専用ドメイン名を確立することが望ましいと考えている。例えば、 現在のgTLD登録が先着順という特徴をもっているために商標と同じ文字列でドメ イン名の取得ができなかった商標権者、あるいは、商標専用ドメイン名の取得を 選択する商標権者に対して自発的な登録を認めるというものである。このような 商標専用ドメイン空間は、ドメイン名が有効な商標権を反映することを保証する ものとなる。 IAHCは、現在の商標制度には国内的特徴と国際的特徴の両方があると認識してい る。したがって、現在の商標制度の国内および国際の両面を反映するため、国内 的な商標ドメイン名空間、および、国際的な商標専用ドメイン名空間の両方が存 在することが望ましい。 商標専用ドメイン名空間において、すべての商標権者は、その商標を含むユニー クなドメイン名を取得する権利が与えられるべきである。これは、たとえ全く同 一の商標の登録が複数存在していたとしてもである(例えば、異なる商品やサー ビスに使われている場合、または、異なる国で登録されている場合)。ドメイン 名の申請の根拠となる商標登録については、その所有権と有効性が正式な形で確 認される必要がある。 商標権者は、いかなる商標専用ドメイン名空間に対しても登録の義務はないこと、 また、商標ドメイン名に関連したいかなるディレクトリにもリストされる義務は ないことを明確にすべきある。また、商標専用ドメイン名を持たないこと、ある いは、商標ドメイン名ディレクトリにリストされないことが理由で、商標権者に 対して法律上悪影響が及ぼされることはないだろう。また特に、商標専用ドメイ ン名空間というものが存在することによって、他のトップレベル・ドメイン名空 間における商標権に対していかなる悪影響を及ぼすものではない。 8.2.1 国別商標ドメイン名空間 商標権者の中には、1つの国においてのみ商標登録をしている者がいる。これら の人々には、国別の商標関連サブドメイン空間が望ましい。 したがって、IAHCは、各国のドメイン名登録機関が、その国の関連する商標登録 機関との協議の上、ISO 3166国コード・トップレベル・ドメインの中に商標専用 サブドメインを作ることを提案する。このようなサブドメインは、 「.tm.」の形式を取ることもあり得る。(「.tm.fr」がフラン スで既に存在しており、一つのモデルとして使用できる。) 国別の商標ドメイン名空間の作成と管理のための共通原則を作ることについては、 関連する国際的な商標機関、例えば、世界知的所有権機関(WIPO)が各国の関連 する商標機関との協力のもと、国際的協調の精神にのっとって調整をすることが 適切である。 8.2.2 国際商標ドメイン名空間 現在のところ世界のすべての地域における複数の国で有効となる国際的な商標登 録はまだ存在していないという認識がある一方、商標には国際的な規格がすでに 存在し、また新しい規格が作成されつつあり、それが将来に渡ってさらに推し進 められるという認識がある。事実、国際的な商標の規格の加速度的な進展は、イ ンターネットなどの新しい技術によって拍車がかけられる可能性がある。 多くの国で同じマークの商標登録を行なっている商標権者が大勢いる。また、 WIPOによって管理される国際申請/登録システムを通して商標登録の申請を行な っている商標権者も大勢いる。現在、このシステムでは300,000を越える国際登 録が存在する。また、地域的な商標機関で登録を行なっている商標権者もいる。 これは、ヨーロッパ共同体の商標機関などのように、1回の登録で複数の国を網 羅するというものである。IAHCは、このような商標権者は、国際的な性質を持つ 商標専用ドメイン空間を希望するであろうと考えている。 したがって、IAHCは国際的な商標関連のドメイン空間を作成することを提案する とともに、「.int」TLDの管理に責任を持つ組織に対して、国際的なサブドメイ ン「.tm.int」のもとに国際的な商標関連のドメイン名空間を作成し管理をする 責任をWIPOなどのような適切な国際商標管理機関に委任することを提案する。当 該ドメイン空間の登録に関する詳細は、関連する商標機関との協力によって策定 されるべきである。 8.2.3 ユーザフレンドリーなディレクトリ 各々の商標関連ドメイン名空間には、オンラインによるユーザフレンドリーなデ ィレクトリが伴うべきである。これは、ユーザがある商標を入力するとそれに関 連したWebページを容易に探すことができるというものである。ディレクトリに 関連ロゴを含めることによって、そのディレクトリがユーザフレンドリーである ことをさらに強化できるであろう。 また、商標関連のドメイン名空間(国コード空間および国際的な空間を含む)の すべてを包含する単一のディレクトリを確立することが望まれるであろう。そこ ではもしかしたら、他のTLDのドメイン名を持っている商標権者が希望するなら ば、そのディレクトリにリストするという形でディレクトリをオープンにするこ とが望まれるであろう。 9 IAHCセキュリティ考慮点 ドメインネームサービスは、インターネットの円滑な運営に不可欠なものである。 したがって、DNS運用の構造またはスタイルの変更は、かなり大きな危険性を伴 うものとなる。ここに提出された勧告は、gTLD名の管理と運営に対して実質的な 変更を加えるための試みであるが、最初の「実験的」な期間中は、変更の拡大を 許しつつも、その変更規模を制限するものである。 10 謝辞 IAHCの努力は、広範囲に渡るオンラインでの議論、すなわち、委員会内での議論 と公開ディスカッションリストの両方から多くの恩恵を得ている。さらに、提案 と意見を求める委員会のオープンな要請は、数多くの提案を受け付ける結果とな り、その中には今回のIAHCの提案で採用されたものもある。今回の勧告は、議論 と提案の統合、並びに、公正で実際的なバランスを求めた結果である。 11 参考文献 [Post94] Postel, J.、ドメインネームシステムの構造と委任、RFC 1591、 1994年3月。 12 連絡先 Sally M. Abelは、Fenwick & West法律事務所のパートナーであり、国際商標協 会(INTA:International Trademark Association)のインターネット部会議長 である。 Fenwick & West 2 Palo Alto Square Palo Alto, CA 94036 Phone: 415-494-0600 Fax: 415-494-8022 Dave Crockerは、Brandenburg Consultingの社長であり、インターネット・メー ル・コンソーシアム(Internet Mail Consortium)のディレクターでもある。 675 Spruce Dr. Sunnyvale, CA 94086 USA Phone: +1 408 246 8253 Fax: +1 408 249 6205 Donald M. Heathは、インターネット・ソサイエティ会長兼CEOであり、IAHC議長 である。 12020 Sunrise Valley Drive, Suite 210 Reston, VA 20191-3429 Phone: 703/648-9888 Fax: 703/648-9887 Geoff Hustonは、オーストラリアのTelstra Internetの技術部長である。 5/490 Northbourne Ave Dickson, ACT 2609 Australia Phone: +61 6 208 1908 Fax: +61 6 248 6165 David W. Maherは、特許弁理士であり、Sonnenschein Nath & Rosenthalのパー トナーである。 8000 Sears Tower Chicago IL 60606 <76010.2523@compuserve.com> Phone: 312/876-8055 Fax: 312/876-7934 Perry E. Metzgerは、Piermont Information Systems Inc.社長である。 160 Cabrini Blvd., Suite #2 New York, NY 10033 Jun Murai(村井純)は、慶応大学環境情報学部助教授である。 Hank Nussbacherは、独立したネットワーキング・コンサルタントであり、現在、 IBMイスラエルで働いている。 Rechov Weizmann 2 Tel Aviv Israel Phone: +972-3-6978852 Fax: +972-3-6978115 Robert Shawは、国際電気通信連合(ITU)のGII(Global Information Infrastructure)担当アドバイザである。 Place des Nations 1211 Geneva 20 Switzerland Phone: +41 22 730 5338 Fax: +41 22 730 5881 George Strawnは、 全米科学財団(NSF)で勤務しており、また、フェデラル・ネットワーキング・ カウンシル(FNC)議長も務めている。 National Science Foundation, Rm 1175 Arlinton, VA 22230 USA Phone: 703 306 1950 Fax: 703 306 0621 Albert Tramposchは、ジュネーブにある世界知的所有権機関(WIPO)の上級法律 顧問である。 34, chemin des Colombettes 1211 Geneva 20 Switzerland Phone: (41 22) 730-9660 Fax : (41 22) 733-5371 委員会外部顧問には、Skadden, Arps, Slate, Meagher & Flomのパートナーであ るStuart Leviがあたる。